
共同創業者の選び方——技術と経営の役割分担
一人で創業するか、共同創業者を迎えるか。これは創業準備で最も重い意思決定の1つです。そして共同創業者を迎えると決めたなら、「誰を選ぶか」と同じくらい「どう組むか」が大切になります。この記事では、選び方と組み方の原則を見ていきましょう。
仲の良さではなく「補完関係」で選ぶ
共同創業者選びで最も多い失敗は、気の合う友人と「一緒にやろう」と盛り上がって始めることです。仲の良さは対立を先送りする力にはなりますが、事業を前に進める力にはなりません。
選ぶ基準は補完関係です。技術に強い創業者なら、顧客開発・営業・資金調達といった「事業の外向きの仕事」を担える相手。自分と同じスキルを持つ人を選ぶと、安心感はありますが、欠けている機能は欠けたままになります。自分の人的資本の棚卸しをして、欠けを埋める相手を探す——これが原則です。
チームが機能する4つの条件
人が集まっただけでは、チームにはなりません。チームが機能するには、共通のビジョン、構成メンバー、役割分担、仕事の連携という要素が揃っている必要があります。共同創業で特に重要なのが、最初の2つです。
共通のビジョンとは、「この事業で何を実現したいか」の目線が揃っていることです。片方は上場を目指し、片方は好きな技術を追求したい——この不一致は、初期には見えず、重要な岐路で必ず噴き出します。組む前に、5年後にどうなっていたいかを互いに語り、ずれの有無を確かめておきましょう。
役割分担は、「最終決定者は誰か」まで決めて初めて完成です。対等な関係は心地よいのですが、意見が割れたときに決められない組織は、スタートアップの速度を殺します。
株式の分け方——「仲良く半分」の落とし穴
共同創業で避けて通れないのが、株式(エクイティ)の分配です。ここで「揉めたくないから均等に」と安易に決めるのは危険です。創業時の議論を避けて均等分割にしたチームは、その後の外部資金調達、とりわけVCからの調達で不利に働きうるという研究もあります。分配の議論から逃げたという事実自体が、難しい対話ができないチームだというシグナルになるからです。
貢献度・リスクの取り方・役割の重さを正面から議論して分配を決めること。その議論に耐えられない相手なら、そもそも共同創業に向いていません。
組む前の「お試し期間」を設ける
もう1つ実務的な知恵として、いきなり登記して株を分ける前に、お試し期間を設けることをおすすめします。小さなプロジェクト——顧客ヒアリングの共同実施、展示会への共同出展、試作品の共同開発など——を2〜3か月一緒にやってみるのです。
見るべきは成果ではなく、働き方の相性です。意見が割れたときにどう振る舞うか、約束した作業をどう扱うか、しんどい局面で連絡が減らないか。これらは面談やビジョンの語り合いでは絶対に分かりません。結婚に例えられることの多い共同創業ですが、同棲なしに籍を入れる必要はないのです。
お試し期間の終わりに、互いに「組まない」判断をしても、それは失敗ではなく、最も安い時点でのリスク回避です。むしろその判断ができた相手とは、共同創業以外の形——顧問、業務委託、最初の顧客——で良い関係が続くことも多いものです。
まとめ
共同創業者は、仲の良さではなく補完関係で選び、組む前にビジョンのすり合わせと最終決定者の設定を済ませ、株式は議論から逃げずに分ける。この3つの「面倒な対話」を最初にやり切れる相手こそ、長い航海を共にできるパートナーです。
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