創業は何から始めるか——最初の90日でやること

2026.8.28GAO HUB Journal読了時間 約4分

会社を作ろうと決めたとき、多くの人が最初にやるのは、登記の手続きを調べること、名刺とWebサイトを作ること、そしてプロダクトの開発に没頭することです。しかし、最初の90日で本当にやるべきことは別にあります。この記事では、創業直後の時間の使い方を見ていきましょう。

最初にやるべきは「仮説を検証できる形にする」こと

創業初期の最大の資産は、時間と身軽さです。この資産を何に使うべきかというと、自分の事業仮説——「誰が、なぜ困っていて、何を提供すれば、どう変わるか」——を検証することです。

登記もWebサイトも、仮説の検証には貢献しません。極端に言えば、最初の90日で会社の形が整っていなくても、「この仮説はいけそうだ」という手応えが得られていれば大成功です。逆に、立派な会社の器ができても仮説が一歩も検証されていなければ、90日を失っただけです。

顧客に会う——アンケートではなく対話で

検証の中心は、想定顧客に直接会うことです。ここで大事なのは、アンケートを配ることではなく、対話することです。集計された数字は集め方次第で歪みますし、本当に知りたい「なぜ困っているのか」「今どう対処しているのか」という文脈は、数字からは読み取れません。

対話の際は、自分のアイデアを売り込まないよう注意しましょう。褒められることが目的ではなく、仮説が間違っている箇所を早く見つけることが目的です。「いいですね」という社交辞令より、「うちはそれ、困ってないんですよ」という一言のほうが、90日の使い方を正してくれる貴重な情報です。

開発と顧客獲得を最初から並行させる

技術系の創業者が陥りやすいのは、「まず良いものを作ってから売りに行く」という順序です。しかし、スタートアップの失敗の多くは製品の出来ではなく、顧客に届ける経路を作れなかったことから来ています。だからこそ、開発と顧客獲得の準備は最初から並行させるべきです。目安として、時間の半分を開発に、残り半分を顧客との対話や届け方の実験に使う配分を意識してみてください。

90日の終わりに持っていたいのは、完成品ではありません。「検証済みの仮説」「話を聞かせてくれる顧客候補のリスト」「試すべき届け方の目星」の3点セットです。この3つがあれば、その後の開発は迷いなく進みます。

90日の設計例——3分割で考える

具体的な時間割のイメージを示します。最初の30日は、仮説の言語化と対話相手のリストアップ。「誰が・なぜ困っていて・何を提供すれば・どう変わるか」を書き出し、話を聞ける想定顧客を知人・紹介・コミュニティ経由で集めます。

次の30日は、対話の集中期間。できるだけ多くの想定顧客に会い、仮説の間違い探しに徹します。この期間の記録は必ず残してください。「誰が・何と言ったか」の記録は、後の製品づくりでも資金調達でも、一次情報として効き続けます。

最後の30日は、対話で得た学びをもとに仮説を書き直し、検証できる最小限の試作(動くものでなくても、図や紙の資料でも構いません)を作って、もう一度顧客にぶつけます。ここで「お金を払ってでも欲しい」という反応が1つでも取れたら、90日は大成功です。

まとめ

創業の最初の90日は、会社の器づくりでもプロダクトの完成でもなく、仮説検証に使いましょう。顧客と対話し、仮説の間違いを早く見つけ、開発と届け方の実験を半々で回す。90日後に「検証済みの仮説」を持っていることが、その後の1年を決めます。

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