
角打ちトークとは?
■ 角打ちを知っていますか
角打ち(かくうち)は、酒屋の店先で酒を買い、そのまま立って飲むスタイルのこと。
語源そのものには諸説あります。枡の角に口をつけて飲むから、酒屋が角地に多いから、店の隅で飲むから——本場の北九州角打ち文化研究会でさえ、ルーツはひとつに絞りきっていません。
それでも「北九州の文化」と言われるのには理由があります。八幡製鐵所の三交代勤務。夜勤明けに出てきても居酒屋は開いていない。でも酒屋なら開いている。そこで酒屋の側がビールケースを出し、板を渡した。働く人の生活時間に合わせて、店のほうが形を変えた——そうやって定着したのが、いまの角打ちです。
最近では「ネオ角打ち」という言葉もあり、いわゆる立ち飲みの一群として括られることも増えました。呼び方はどちらでもいい。大事なのは、あの空間が持っている性質のほうです。
カウンターは狭い。椅子はない。だから隣の人との距離が、物理的に近い。店主との距離も近い。名刺交換から始まらないのに、気づいたら仕事の話をしている。そういうことが、角打ちでは普通に起きます。
そして角打ちは、クローズドではない。これは言い切っていいと思っています。会員制でもないし、紹介制でもない。暖簾をくぐれば、その日からその場の一員です。
家でも職場でもない第三の居場所には、肩書きを平らにならしてしまう働きがあります。角打ちのカウンターは、まさにそれです。部長も新人も、投資家も学生も、立ってしまえば同じ幅しか持てない。
■ 起業家が「店主」になる
私たち Go All Out が企画しているのは、この角打ちスタイルで起業家ピッチをやる、というものです。
構造はシンプルで、カウンターの内側に立つ「店主」が、起業家。
一般的なピッチイベントは、壇上と客席がはっきり分かれています。5分喋って、質疑が2分。終わったら次の登壇者。効率はいい。でも、その5分に収まらなかった話のほうが、たいてい面白い。
角打ちなら、順番が逆になります。飲みながら喋る、その流れの中に事業の話がある。デモ機が置いてあれば触れるし、気になったことはその場で聞ける。投資家も、事業会社の人も、ただ関心があるだけの人も、同じカウンターに並びます。
聞きたいのは事業のことだけではありません。なぜそれをやっているのか。いまどこで詰まっているのか。ビジネスの話も、人生の話も、成長の話も、酒が入っていたほうが素直に出る。それでいいと思っています。
■ 起業家同士で飲む夜もつくります
カウンターの内と外を分けない日も用意します。起業家が二人、三人と並んで飲む「角打ちトーク」です。
投資家に向けたピッチは、どうしても整った話になります。うまくいっている部分から喋る。それは当たり前で、悪いことでもない。
でも、同じ立場の人間が隣にいるときだけ出てくる話がある。採用でしくじった話。共同創業者と揉めた話。数字が伸びない三ヶ月をどう耐えたか。ピッチの場では言えないけれど、本当は一番聞きたいのはそっちだ、という人は多いはずです。
酒屋の店先には、上下がありません。だから、まだ答えの出ていない話が出せる。
この夜は、ライブ配信でも流したい。編集して整えた動画ではなく、その場で起きていることをそのまま。うまい話も、詰まって黙る時間も、脱線した雑談も含めて流れていく。起業家が素の状態で喋っている時間は、そうそう見られるものではありません。
配信を見ている人がコメントで質問を投げて、それをカウンターで読み上げて、そのまま酒の肴になる。そういう距離感でやりたいと思っています。画面の向こうも、角打ちの一員です。
■ 「出張」の意味 — カウンターを、担いでいく

今回の企画には「出張」がついています。
ひとつは、酒とつまみ。この文化が育った土地に敬意を払って、北九州の酒と、北九州のおつまみを持ち込みます。飲みながら、その土地の話もできる。角打ちのほうが北九州から出張してくる、という意味です。
もうひとつは、カウンターそのもの。いま出前カウンターを製作中です。
これが完成すれば、場所を選びません。オフィスのエントランス、イベント会場の一角、ビルの空きスペース、屋外。カウンターを置いた瞬間、そこが角打ちになる。箱を借りるのではなく、箱のほうを持っていく発想です。
そして、ここからが本当にやりたいことです。
出張した先では、その土地の酒を仕入れます。土産話も一緒に持ち帰る。それを、次の出張先へ持っていく。
前回の街で聞いた話を、次の街のカウンターで喋る。「この酒、こないだ行った土地のやつなんですけど」から始まって、じゃあうちの地元はこうだ、という話に転がっていく。飲んでいるうちに、行ったことのない街の話が自分ごとになっていく。
一回きりのイベントを各地でやるのではなく、一本の線としてつながっていく。カウンターが、街と街のあいだを行き来する運び屋になる。北九州から始まった酒と話が、五回目には五つの土地のものになっている——そういう育ち方をさせたいと思っています。
■ Go All Out はメディアです
正直な動機も書いておきます。
Go All Out はメディアです。だから、人に会いたい。会って、話を聞いて、記事にしたい。カウンター越しに聞いた話がそのまま次の記事になる——というのが、私たちにとっての理想的な循環です。
その場の様子は、動画としても配信していきます。
角打ちの価値は、内容よりも空気にあります。誰がどんな顔で喋っていたか、隣の人がどこで笑ったか、どの質問で場が止まったか。それは文字だけでは残りません。カメラを一台置いておけば、その夜カウンターに来られなかった人にも届く。
配信があるということは、出張角打ちは「その場にいた30人のための場」であると同時に、「見ている人のための場」でもあるということです。カウンターの内側に立つ意味が、それだけ大きくなります。
PRしたい事業者の方、伝えたいプロダクトがある方は、ぜひ声をかけてください。カウンターの内側に立ってもらうこともできますし、取材としてお話を伺うこともできます。まずは、飲みながらでいい。
■ どこでもやります
出張角打ちトークは、まだ始まったばかりの企画です。カウンターも製作中、フォーマットも固まりきっていません。
だからこそ、一緒につくってくれる人を探しています。
「うちのスペースでやってほしい」「店主をやってみたい」「起業家同士で喋る回に混ざりたい」「配信だけ見たい」「ただ飲みに行きたい」——どれも歓迎です。
カウンターを置けば、そこは角打ち。次は、あなたの街で。
ビジネス情報発進メディア Go All Out
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